ヘアアイロンで傷ませないための温度と時間
毎日のセットに欠かせないヘアアイロン。
サッと通すだけで髪がまとまり、スタイルが決まる便利なアイテムですよね。
しかし、その一方でアイロンは“髪を傷ませやすい代表的な行為”でもあります。
知らないうちに高温を当てすぎていたり、同じ場所に長く当ててしまっていたりすると、
- 毛先がパサつく
- 切れ毛・枝毛が増える
- カラーの色落ちが早い
- 表面がチリチリになる
などのトラブルが起こりやすくなります。
でも安心してください。
「温度」と「当てる時間」を正しくコントロールすれば、髪を極力傷ませずにアイロンを使うことができます。
この記事では、髪質別の最適温度や、理想的な時間、アイロン前後の正しいケアまで網羅的にわかりやすく解説します。
ヘアアイロンが髪を傷ませる“本当の理由”
まずは、なぜアイロンで髪が傷むのか、仕組みを知っておきましょう。
髪は150℃以上でタンパク質が変質する
髪の主成分は、ケラチンというタンパク質です。
タンパク質は熱に弱く、一定の温度を超えると変性します。
- 150℃前後:タンパク質が変質し始める
- 180℃以上:内部が硬くなり、弾力が失われる
- 200℃以上:焦げに近い状態で強いダメージが残る
つまり、高温ほど髪の内部構造を壊しやすく、元に戻せないダメージにつながりやすいのです。
水分が一気に蒸発して“空洞化”が起こる
濡れた髪に高温のアイロンを当てると、
髪内部の水分が一気に蒸発し、空洞化(穴)が生まれます。
これがいわゆる“バサバサ・チリチリ状態”の原因。
そのため、アイロン前は必ず完全に乾かす必要があります。
摩擦+熱がキューティクルを壊す
キューティクルは髪を守る最外層。
高温のプレートで挟むことで摩擦が加わり、剥がれやすくなります。
剥がれたキューティクルは元に戻らないため、
枝毛・切れ毛などの原因になります。
髪を傷ませないヘアアイロンの“最適温度”は?
適切な温度は髪質によって異なります。
まずは髪質別に最適温度を確認しましょう。
【髪質別】最適温度一覧
細い・猫っ毛・ダメージ毛
→ 120〜140℃
理由
- 熱に弱く、150℃を超えるとダメージが一気に進む
- 薄くて柔らかいため低温で形がつきやすい
おすすめシーン
- 毎日アイロンを使う人
- カラーやブリーチを繰り返している人
- 枝毛が気になってきた人
普通毛(ダメージ少〜中程度)
→ 140〜160℃
理由
- 多くの人が最もツヤを出しやすい温度帯
- 熱ダメージを最小限に抑えやすい
おすすめシーン
- 軽いクセをまっすぐにしたい
- 髪のまとまりをよくしたい
太い・硬毛・クセが強い髪
→ 170〜180℃までOK
理由
- 太い髪は形を変えるためにある程度の熱が必要
- 低温ではクセが伸びず、かえって繰り返し当ててしまいダメージになる
ただし、以下は絶対にNG
- 毎日180℃
- 同じ場所に長く当てる
- 濡れた状態で使用する
温度は“高いほど良い”は大間違い
高温ほど一度で伸びやすいですが、
髪の内部がどんどん壊れ、取り返しがつかないダメージになります。
長く健康な髪を育てたいなら、
できるだけ低温で、回数を少なくが絶対ルールです。
髪を傷ませないヘアアイロンの“当てる時間”とは?
最適な時間の目安は次のとおりです。
当てる時間の目安
- 1か所につき 1〜2秒
- 同じ束に3回以上はNG
- 毛先は“サッと通すだけ”で十分
長時間のプレスは、
髪が固くなり、枝毛・切れ毛を加速させます。
ヘアアイロンの正しい手順(これだけで傷みが激減)
ここからは、アイロンを使う際の正しい手順を説明します。
1. 必ず“完全に乾かす”
“半乾きのままアイロン”は最悪の行為。
ジュッと蒸気が出るとその瞬間に髪が傷みます。
ドライヤーで
- 根元 → 中間 → 毛先 の順に乾かすのがコツ。
2. 熱保護のミストまたはミルクをつける
アイロン前のヒートプロテクトは必須です。
主な役割は、
- 熱から髪を守る
- 水分蒸発を防ぐ
- アイロンの滑りを良くする
おすすめタイプ
- ミスト:細毛・猫っ毛
- ミルク:普通〜太い髪
- オイル:アイロン前はNG(焼けてダメージの原因)
3. 髪を“細かい束”に分けてゆっくり通す
一度に多くの髪を挟むと、
プレートが均等に当たらず、何回もアイロンを通すことに。
- 束は1〜2cm幅
- ゆっくりまっすぐ下に滑らせる
これでたった一回でもきれいに伸びます。
4. 毛先は絶対に挟みすぎない
毛先は最も乾燥している部分。
以下のように扱うとダメージ大:
- 何度も折り曲げる
- カールを強くつける
- 根元と同じ時間当てる
毛先は“軽く通すだけ”で十分形がつきます。
5. 最後は冷風でキューティクルを引き締める
アイロンは高温でキューティクルが開くため、
最後の冷風で閉じることで、
- ツヤ
- 手触り
- 色持ち
- ダメージ予防
が格段にアップします。
髪質別:アイロン前のおすすめケア
アイロン前の状態づくりが最も大切です。
細い・猫っ毛向けケア
- 乾かす前に軽いミスト
- 重いオイルはNG
- 温度は120〜140℃
- アイロンは最小限に
普通毛向けケア
- ミルク→ドライヤー→軽くミスト
- 温度は140〜160℃
- 艶を出したい日は仕上げに軽いオイル
太い・硬毛・広がるタイプ
- ミルクをしっかりつける
- 必要に応じて“軽めのオイル”を少量
- 温度は170〜180℃
- 一度でまっすぐにすることを意識
髪を守るために“絶対に避けるべきNGアイロン習慣”
知っておくと即改善できるNG行為をまとめます。
濡れたままアイロン
→ 髪の空洞化が進み、チリチリに。
同じ場所を何度もプレス
→ タンパク変性が進み、硬くなり切れ毛に。
高温で長時間当てる
→ 内部までダメージが進行して戻らない。
オイルをつけてからアイロン
→ 焼ける・焦げる原因。蒸気が出る場合は完全にNG。
アイロン後にブラッシング
→ 熱で柔らかくなった髪は摩擦ダメージを受けやすい状態。
アイロン後のケアが“傷まない髪”を育てる鍵
アイロン後は、
キューティクルが開いて無防備な状態です。
軽いオイルでコーティング
- 毛先だけ
- 重くつけすぎない
- 指先に1滴でOK
必ず冷風で仕上げる
熱で柔らかくなった髪を引き締めることで、
ダメージを最小限に。
寝る前は摩擦対策をする
おすすめアイテム
- シルク枕カバー
- ナイトキャップ
摩擦が減り、朝の広がりやパサつきが減少します。
まとめ:温度と時間を守れば、アイロンは“怖くない”
ヘアアイロンは使い方次第で、
髪を痛めることなく美しくスタイリングできます。
大切なのは、
- 髪質別の最適温度を守る
- 1〜2秒以上当てない
- 同じ場所に何度も当てない
- ミルクやミストで熱を守る
- 完全に乾いた状態で使う
- 毛先はやさしく仕上げる
- 最後は冷風で引き締める
これらを守るだけで、
仕上がりも手触りも驚くほど変わります。
ヘアアイロンは「正しい知識」で味方にできるアイテム。
髪を大切にしながら、毎日のスタイリング時間をもっと楽しんでくださいね。

